あとりえあげん

世田谷区三軒茶屋で隠居してます。ときどき劇作家。 HPはコチラ http://agen.web.fc2.com/

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人間性の問題

鐘下サンの「絶対零度」を再読。
というのも、少し前のセミナーで実際に上演された女優さんの講義があり、テキストにこの戯曲の最後の数ページが使用されて。 
あれ……? そういう意味のエンディングだったの?
わたしが読み流していたのとは正反対のイメージなので、大いにアセる。

西山水木さんの講義は、なんというのか、役者さんの存在とか呼吸とかについて体感させてもらえる貴重な体験で。
わたしが皮膚感覚でなんとなくぼおっと感じていたことを、噛み砕いて言葉で説明してもらったというか。 (ホンのホンの入り口ですが)
でも、その糸口を体感すると「演技している存在感」に対する視線が全然違ってしまい。
今となっては、TVドラマを見ててもいろんな戯曲を読んでも、
好きと嫌いで分けていたはずが、理由として言葉で説明できるようになった、気がする。

で、まあ。 「絶対零度」。
実際に「瀬川恵子」を演じた女優さんは終幕の救済としての解釈を、呼吸を使っていかに客席に伝えるかという技術を講義してくださったわけですが。
わたしは昔読んだとき(舞台は観ていないのです)、恵子というその女性の勝ち誇った余裕みたいな冷たさ/究極の復讐 に身震いして、読み終えていたのでした。

だから講義を受けながら、ちょっと恥ずかしい気持ちに。
人間としての成長や包容力を読み取れなかった自分。 人間として、表現者として欠陥かな、とか。

人間への愛がなければ戯曲は書けない、演劇はつくれないと言うけれど。
癒しや調和を押し出したわかりやすい作品が、評価されやすいのもわかるけれど。
わたしの中の人間性は、冷たいんだろうな。
愛や共感という幻想よりも、現実社会の身勝手な人間の温度から眼をそらせない。 それはかなり寒々しい。 
ただその奥に、小さな強い輝きが存在していて、たぶんそれが人間の尊厳を支えているのだとは思うので。 

終幕の救済を読み解けなかった自分が、恥ずかしい。