芝居が終わって客電が点いて、席を立ったら見知った顔が目の前に。
あれえ、じゃ、これから稽古? 「うん」
戯曲セミナー「死体に爆弾」の他チーム、作・演出まもり(仮名)サンでした。
かの女とは、昨日も道端ですれ違ったばかりで。 まあ、これは何かに呼ばれてるのかなと内心思い込んで、あとについていく。
歩きながら、ねえ、あれは何故? それよ、わかんないよね。 とか。
今、観たばかりの芝居の「演出」、の話などを。
稽古場で。
じゃあ、わたし、死体の役(寝てるだけ)やろうか?
「いい? お願い!」
死体役は兼任なので、このチームの稽古にはまだ入っていない。
おお、
わたしが入った意味、あったみたいだ。 生身の肉体が横たわっていると、むいてはいけないはずの視線がそっちに引っ張られることが判明し、演出が変わる。
で、
死体の役なんだが。
すっげえ気持ちいい!! なんなんだろうな、これは。
視点をぼかして、少し口を開けて、
だらんと横たわっていると、からだが床に溶け込んでいくような、
遠くに小鳥の鳴き声や、風が枝をすり抜けていく音が聴こえるような。
(防音の稽古場ですが)
自分の視線に入らない身近なところでは、熱くドラマが流れているんだけれど、
その気配もとろりとすごく別なものに感じられて。
生きている人間って、なんだかオカシイナ、とか。
動くことに、どんな意味があるんだろうか、とか。
……蕩けていく……。