(フリンジ・フェスの続き)
今回あたえてもらった「演出」という役割の中で、
芝居はみんなでつくるものという感謝とは別に、もうひとつの感謝がある。
わたしは今まで、知らず、こんなにたくさんのことを学ばせてもらってきていたのかという実感。 自分の中に、こんなすごい財産があったのか!という驚き。
たくさんの諸先輩方、ありがとうございました。
今となっては、これは全部わたしのものです! (という一方、もっとマジに修練しておけばよかった!という後悔も)
その前に、
「演出」としての最初の作業のひとつに「台本の書き直し依頼」があった。
つまりわたしは、
作業者として劇作家と向かい合うスタンスを実感したわけさ。 (ささやかなものですが)
うーん、そうかあ。
作家ってのはいらんことを悩む人種だったんだね。 あれもこれもと詰め込みたがる……? このsusieにして陥るか。 わたしは、数行の説明を一言ですっとばすようにと依頼しました。 ないほうがスッキリするもの。
この俯瞰的な視点は、自分でびっくりしましたね。
果たして、自分が書く側に戻って、どれだけこの視点を維持できるかはアヤシイことですが。
そして稽古開始。
役者さんたちに「こう進めたいけどいい?」と確かめながらの段取り……。 笑笑っ。
動きのおもしろさがポイントなので、数度の本読みのあと、早々に立ち稽古。
一通り動いてもらってから、
ああそうか、と台本を置いてもらって、(見よう見まねの)エチュードをはじめる。
師匠から教わった、歩くことでからだのパーツを意識してもらう動き。
キムさんの稽古見学で見た、歩くことで空間と他の人たちを意識する動き。
そして死体に見えるからだとはどんななんだろうと、みんなで考える。
そうか。 死後硬直よりも、だらんとした感じ?
やってもらうと、いやあ、関節が固い、固い。 余計なところに力が入ってるし。
ってわたし、各関節をほぐすストレッチなどをそこで教えられるんだ、何故か。
椅子に座って、からだ半分が死体だとしたら、どうやって1メートル先の床にあるパンを取る?という動きを、順にやってもらう。
すごいことに!
3人が、全然違う動きをしてみせるわけさ。 おおお! それぞれを言葉で分析して理解してもらい、芝居の動きに還元してねと頼む。
そのあと、芝居に戻ると!
動きが全然違うの。 すごいすごいすごい。 関節もやわらかくなってるし!
役者ってすごいよ!
意識を通わせるべきふたりに、近距離に向き合って座ってもらって、相手の目や呼吸を意識しながら一通り読んでもらう。 これも師匠に教わった方法。
小返しをしてある程度、動きができてきたら、台詞が重くなってきたなと思う。 (コントですから、これ)
そういうときは、本読みに戻れと。 これはつい最近、chuさんに教わった。
台本と向き合って、軽くスピーディにフラットに声を出してもらう。
そのほか、訓練はしていないものの、声の出し方とか。
その他もろもろ。 いろんなことを。
ふと、我に返ると、自分にできもしないことを人様に求めている自分に愕然とする。
何で役者は、素直にそれに従ってくれるのだろうかと怖くなる。
昔、キムさんが言っていた。
それぞれの才能を引き出して、お皿にキレイに盛り付けるのが自分の作業だって。
うん。
ほら、こんな基本スタンスさえ、わたしはすでに答えを与えられているんだよね。