あとりえあげん

劇作家・ミュージカル関連のコミックエッセイスト・多摩美校友会理事 活動ベースは三軒茶屋ですが八ヶ岳の別荘で在宅介護はじめました☆

[ブログ版] 世田谷区三軒茶屋で隠居してます。ときどき劇作家。HPはコチラ http://agen.web.fc2.com/

浮遊する 身体

□その1

昨日の劇作家協会の戯曲セミナーの講義。
時間の半分が、声とからだを実感するって「実技」でしたっ!!
(by 長谷基弘さん)

10人で輪になって、簡単にからだを動かしたり声を出すことから始まって。
最後にカードを引いて、それぞれに違うシュールな俳句(自由詩)が配られます。
順番に。 まず、黙読。 そして声に出して読む。
(現場に近い人とそうでない人とは、声を出す前の息からが違うなあ、とか思う)
長谷さんの質問に、自分に与えられた句のイメージで、次々メモを取る。
それから各自、言葉を抽象的な動きに変換してみる。
周囲のお互いを意識しながら。 やがて、意識の中で、まわりが消えていく。

動きを考えていると、しだいに言葉を細かく分けて考え出すみたい。
「小さい火鉢でこの冬を越そうとしている」
「小さい火鉢で」「この冬を」「越そうとしている」
「小さい」「火鉢で」「この」「冬を」「越そうと」「している」
小さい……小さい……ぎゅっと小さい……火鉢……固くて……炭の匂い……炎……火鉢、で……この冬、を……冬……冬?……あたりが張り詰めて……広く、閉ざされて……パキン……空気が……冬……ガラス窓……雪、風……白い日差し……冬!を……越そうと……越す……乗り越える?……仮死して……死んで?……だらり?……違う……越そうと?……冬眠?……小さくなって……している…………そう……やり過ごす……じっと……えーと………………。

指、手、腕。 
からだがバラバラにしゃべれたら、どんなに気持ちがいいだろう。
でも、できない。 できないから、気分だけ、気分だけね。
ときおり、他の人たちの声が飛び込んできて、乱される。
その乱れも楽しい。 あ、空気だ。

最後に、
それらすべてをイメージして、からだは動かさずに、声だけ発する。 一人ずつ。
みんな、最初と全然違って、色がつき、空間が広がり、固まり、声が別人になる。
わたし。
あきらめて、ストトンと声を鼻先あたりにぶつけて終わる。
いっぱいいっぱい考えたのに、声にすると一瞬だ。
でもちょっとだけ、声に空気が含まれた気が、するけど。

終了。
それが、役者が台詞を声にするということですと、説明される。
ひゃーっ。
ミタカズヨさんやワタナベミサコさんに、自分の言葉を台詞にされた日には、
それはそれは大感動!!なんだそうです。
自分の書いた台詞とは思えない、別のものになっているって。
だから、共同作業者として、役者を信じましょうね、と締めくくり。

 

□その2
そのあと、黒豚屋さんに流れる。 おなじみのメンツ、10人くらい。
言いっぱなしの本音・冗談トークと、ハイスピードで交わされるボケとツッコミ。
わたしひとりだけ日本酒のコップ酒で、そりゃあ、酔うって。
トイレ。
座りながら横を見たら、壁一面の鏡。
あそこに座っているのは、誰だ? 知らない顔の人間。
うまく言えないケド。 鏡の中の自分の影を自分だと思えなかった。 そこにいるのは、別の意思の生き物。
なんなのよ、これ。と声に出す。
鏡の中はにやにや笑っている。

自分を、もうひとりの自分が観察している感覚……?
あのう、
酔っ払うってことに似てますか?