あとりえあげん

世田谷区三軒茶屋で隠居してます。ときどき劇作家。 HPはコチラ http://agen.web.fc2.com/

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「バベル」を観た

木曜日の会社の朝礼で。
今日は定刻で上がりますから、わたしをご使用の方はお早めに。 と宣言。

そりゃ、ジャストにってワケには行かないけれど、それでも
会社を出ると、頭上には淡いオレンジを照り返す雲をうかぺた水色の空。
わーい。 越してきて1ヶ月。 初めて、まだ明るいうちに会社を出た、かも。

「平日の夜に映画を観にいかない?」なんて友人たちの言葉は、いつもわたしの横を通り過ぎていた。
が、
先日は思わず手を上げる。 わたしも行く!
「『バベル』だけれど、いいの?」
映画はなんでもいいっ! 『平日の夜』にみんなと『映画館』に行くことに意味があるの!

だって、ねえ?
1週間に1度くらいは定時に上がれるペースに出来なければ、新人を配属してもらった意味がないというもの。

わーい。 わーい。 わーい。 
会社の帰りに映画を観るなんて、まるでOLさんみたいだぁ。
友人に携帯メールしながら、
つくづくと考えると、映画館に行くこと自体が、6,7年ぶりかもしれない。
メール返信。 友人2人はすでに、渋谷109の7階でパスタを食べているという。
109でパスタを食べる! わーい、まるで……(以下同文)。

時間を気にしながら食べたスープパスタは、少々しょっぱかった。 サラダのドレッシングもたっぷりめ。
そうか、渋谷の若いユーザーむけの味付けって、こういうこと?

で『バベル』は。
とりあえず、寝なかった。 ……まあ、楽しんだんだと思う。
まったく別々の4つのエピソードが、終盤に向かってつながっていくんだけれど、
その因果律に特に意味があるわけでもなし。
ブラピや役所さんがこの役を演じる意味あるの?とか。

描写が即物的っていうのか、人間の精神性とか倫理観が低い。
設定のひとつが東京だから、余計感じるのだと思う。 渋谷の女子高生(あら、すぐそこの交差点じゃない、という画像が入っている)やナンパ坊主は、こんな他愛のないキャラじゃないと思うぞ。 歯医者や刑事は絶対に、女子高生とふたりきりにはならないし。 日本の銃の規制はこんなに緩いか?とか。 それから……。
と、生理的な違和感が先にたってしまうからね。 (監督はどこの国のヒトなんだ?)
田舎モンがイメージする「都会」って、こんなんなのかなー。

エンエンと続くエンドロールを見ながら、この他愛もない脚本に、なんてたくさんの人とお金が費やされているんだ!とちょっとハラがたったりして。

映像美とか、
シーンの作り方とかつなげ方とか、
作り手の持つ映画への愛と技術はすごいなあと思う。
その意味では、映画館で映画を観るという楽しみは堪能した、ということで。

 

次の日の朝。
『バベル』というタイトルの意味を考える。
人間の愚かさを描きたかったのか? でも後半はハートウォーミングな展開にまとめてたぞ。 
ある日突然、伝わらなくなる言葉。 昨日までの友人との決裂。
……バベルの塔……豊かになった人間の思い上がり……?

気付く。

この監督は、アメリカの思い上がりを描きたかったのか?
(だったら、この作品をアカデミー賞候補にしちゃったアメリカはすごい道化だ) 

以下ネタバレ。
日本のエピソードをはずすと、図式がクリアに浮かびあがってくる。
モロッコの無邪気な家族よりも、メキシコの愚かで善良なおばさんよりも、
いくつかの事件を通して、
優先され、世間に注目され、同情を集めるのは自分勝手なアメリカの夫妻なのだ。

たぶん、東京の父娘の設定を、アメリカにして。
例の夫妻と生活のどこかでリンクさせると、凛子ちゃん演じる女子高生が「天使」としての意味を持ってくるのだろうけれど。
テーマが表立って、アメリカからバッシングをうける可能性が高まるだろうな。

すごい監督だ。 舌を出して笑ったんだろうか。
テーマをあえてボカすことで、実は主張してる……? 

「ざけんなよ、大国」

さあ、考えろ、日本。 わたしたちはどうしなければいけないのか。