こたつで目が覚めると、夜明け近くでした。
お風呂にはいらなきゃ。
お湯を出して、よろよろと今度はベッドに倒れ込んで……。 寝ちゃった、また。
あああっ。
ふと意識が戻り、駆けつければ静かに溢れ続ける薄青のお湯。
あーあ。
寝ぼけマナコのまま慌てて蛇口をひねり、服を脱ぎ捨てて湯船に飛び込む。
げっ、ぬるい。
時間がたつと、お湯ってこんなに冷めちゃうものなの？
うちのお風呂は追い炊きが出来ない。
しかたがない。 熱いシャワーにしよう。 と、……お湯がでない。
？？？
待て、溜まったお湯が時間のせいで冷めたのではなくて？
風呂場を飛び出し、びしょぬれリ足跡のまま、キッチンのパネルを何度かリセットしてみるが、数秒たつと意味ない数字がちかちかと点滅する、だけ。
気付いてキッチンシンクの蛇口をひねるが、やっぱりお湯は出なかった。
壊れたか、ガスヒーター！ 無意味にむなしく働かされた反乱の意思として。
どうしよう。 会社に行くのに、髮を洗えないじゃん！
お間抜けといわれようと、最初に思ったのは、そのこと。
で、……寒いな……。 （ なにせ、タオルをはおっただけの裸だ！）
とりあえず、こたつに戻ってもぐりこむ。
夜が明けたら、誰に電話しよう。
マンションの管理会社か？ いつも困ったような眉の担当くんの顔を思い出し、ちょっと落ち込む。
今日中に修理してもらえなかったら、今晩もお風呂に入れないじゃない。 そしたら仕事を8時過ぎにはきりあげて、お風呂やさんか、スポーツジムにいかなきゃなぁ。
えっと、今日修理にきてもらえるんなら、ドアをあけるために会社は早退？ （ひとり暮らしの不便） 今日はどうにかすれば早退できるような仕事量だっけ？
それとも、メーカーのお客様窓口かな？ 電話する先のことだけれど。
と、ここまできて、取扱説明書があるはずだと気付く。 何年も引き出しに埋もれ続けた……。
ぱらぱらとめくるうちに、ガスそのものが止まった可能性は？と思いいたる。 キッチンのガス台！ ほら！ つかないじゃん。 なんだ、ガスが止まったんだ！
……誰のせいで？
すみません、わたしが眠りこけて、ずっと使い続けてたせいです。
セーターを着て、玄関を出て、ドア横にあるライフライン用の鉄扉をあけると、正解。 元栓のセンサーが点灯している。
ぼたんを押し込む。 そのまましゃがんで、3分待つ。
キッチン・シンクのお湯。 出た！ 温かい。 涙が出そうだ。
ありがたいなあ。
あらためて服を脱ぎ、シャワー！ 髪を洗って、からだを洗って。
ありがたいなあ、お湯。 あたりまえのように熱く湧き出し、流れていく。 ああ。
会社に出かける時間だ。 ふううっ。
ばたばたして、結局少し寝そびれたせいか、お湯にあったまってからだが安心したせいか、会社に向かう電車の中では爆酔。 ひと駅、寝過ごしました。
最後まで、笑い話。
