2006/11/19 12・00〜 帝国劇場
帰り道、雨に降られて、黒いウールのショール(全面、花の刺繍入り)をフードのようにすっぽり被って歩く。 ふーん、やっぱり見えてんだ。 黒いフードごしに風景が。
今日の席は、音がよく聞こえて。 とたんに歌に陰影が出てきて、すごくドラマテッィクに聞こえ出す。 心の芯に飛び込んでくる。
もしくは、
日にちを重ねて表現者の声に、陰影と落ち着きが出てきたのか。
舌なめずりをしていたかもしれない、わたし。 息もつかずに、全身で舞台を愉しんだ。
好きだなあ、このミュージカル。
本日のお楽しみポイントは、音楽と照明と「絵」。
音楽と照明の持つ、力。 すごいなあ。
この作曲家さん、不協和音で中途半端に終わりたがる傾向が強く、聞いてて欲求不満なことが多いけれど。 細かい演出に、ため息。 ここでこの音が入るのかぁ。 心理にひねりが入るわね。 この音の重なり具合が、もう、ああ、ぜつみょー! はああっ
照明、まるでマジックですね。 特に裁判のシーンの入り方。
アントワネットが単サスに足を踏み入れると、髪が突然、強烈な純白に輝き、次の瞬間、その髪に包まれて人生に疲れた顔が浮かび上がる。 と同時に、背後では人のむらがる窓と証人台が暗闇に浮かび上がる。 なんで? こんな絵がつくれるの?
全体の衣装の色調とか、ローソクの多用で(レンブラントみたいな)絵画的だなあと思う瞬間が多いとは思っていたけれど。
装置の塗りにタッチが残っているし、ね。
壁の箱の中にバックライトで立つカリオが、ハインデルの絵みたいで、誰かこの瞬間を切り取って!と叫びたかったりして。
アントワネットの人生の皮肉を考えてた。
フェルセンと出会うことで、自分と正直に向き合うことを知り、ゆえに自分がもっとも自分である立場/王妃であることを、全うしなければいけなかったのね。
フェルセンと出会わなければ、もしかしたら自分の人生から逃げ出して、かげで舌を出してたのかもしれない。
涼風さんというのは、目の表現がチャーミング。 メイクも含めた一幕と二幕の目の演じ分けだけでも、チェックする価値あり。
ところで
オープニングで、舞台にぽつんとローソクが灯っている。 前回2回は2本で、ふたりのM.Aなのかなと思っていたら、本日は3本でした。 ありゃ? ……第3週ってこと???