あとりえあげん

劇作家・ミュージカル関連のコミックエッセイスト・多摩美校友会理事 活動ベースは三軒茶屋ですが八ヶ岳の別荘で在宅介護はじめました☆

[ブログ版] 世田谷区三軒茶屋で隠居してます。ときどき劇作家。HPはコチラ http://agen.web.fc2.com/

「恍惚の人」を観た

       2006/7/29 東京芸術劇場 小ホール2 /劇団東宝現代劇75人の会

師匠がときどき、「客席全部が泣いているのに、オレだけドン引き」という言い方をするのだが、……わたしにとって、この舞台がそうだった。あらら。

友人から又聞きしたこの劇団の脚本募集に応募したのがきっかけだと、以前にも書いた。もう少しくわしく言うと、東宝の戯曲科受講時代に書いた作品を、講師が首を傾げながら、知り合いのこの劇団が欲しがるかな?みたいにつぶやいたのだった。ただ時空が入り乱れる設定が、却下かな、とも。(先生ご自身が、まずこの演出を理解できないとおっしゃった) まあ、それをフト思い出し、舞台を観たこともない劇団に、応募しちゃったのです。このおっちょこちょい。

稽古場を見学しますか?という電話をもらって、ちょっと舞い上がった。今のわたしのテーマのひとつは「現場への参加」だから。でも、稽古場に行けなくて、正解でした。稽古場でドン引きしてたら、そりゃあすごい失礼でしたでしょうから。

何に引いたかと言うと、1 劇団のスタンス 2 あざとい脚本 (……途中で席を立たなかったことを、誰か褒めて)

1 ……について、語ってしまうと、悪口にしかならないので、黙ります。

2 すごく、ウマい脚本なんです。客席はもう全員、老人のぼけぶりには爆笑して、周囲の身勝手にはハラを立て、気味が悪いほどケナゲな嫁さんには共感して、同情して、(本人たちには実に気持ちのいい)すすり泣き、の嵐。前にも書いたけれど、問題を直視する気はないくせに、勉強した気分になることは大好きなのね、観客は。

ちぐはぐな時間設定が、わたしのカンには触るのだけれど、あれは一致してるんでしょうか。黒電話(ダイアル式)と東北新幹線と女子大生の鼻歌と。アルツハイマーには嫁の心のこもった介護が最高の解決法という結末も、完全に時代遅れよね。介護に関しても、オママゴトで済ませないでよとも思うが、それは作家の方針のうちかな。

そういう芝居が芸術座のカラーだとはわかっているけれど、ダメ、わたし。

観客を見回して、わたしが応募したような作風、面白がるかな? 理解するかな? と考えると、……瞬殺。イイです、もう。

数年間、東宝の芝居をいくつか観せていただいていたので、セットが(おそらく無料の)使い回しであることがわかる。(あ、TDVでもやってたんだった。東宝ってその辺、無頓着なのね)