久しぶりに来社した営業さんが、ご不幸があって田舎に帰っていたのだという。温泉だの観光だのの話題に、「上越新幹線? 乗りたいよ」と口走ったのが、午前中。
昼前、客からクレームが入る。わかりました、出向いてきますと飛び乗り、気づく。ホントに乗っちゃったよ、上越新幹線。携帯で、社内にいる女の子にメールする。ねえ、午前中の会話、覚えてる? 「乗れて、よかったですね」と返事が戻る。うーん。……よかったのか? クレーム処理ですぜ?
しかも、
数日前、実は携帯でマピオンだの駅すぱぁとだのが使えるのね、と予習したばかり。住所などを渡してくれた男の子が「使い方、わかりますか?」 うん、大丈夫。
ときどき、起こるよね。いろんな関係のない矢印が、ひとつの方向を向くとき。
窓の外は、のどか〜で、うららか〜♪ 山の手線で通勤しながら、乗りたいなあ(旅行したいなあ)と眺めていた新幹線に、わたしはとりあえず乗ってるわけだ。
神様のくれたごほうびに違いない、と考えることにした。
………………
社内では大騒ぎになったクレームも、出向いてしまうと、沈静してしまうものだ。駅員さんもタクシーの運転手さんも、先様のご担当者さまも、田舎のおじさんたちはみんな、ご親切で世話好き。 すみません、ありがとうございます、で世の中をわたってしまいました。