by ケリー・ジョーンズ 松井みどり 文春文庫
あげんのオススメ度 ☆☆☆★★
「ダ・ヴィンチ・コード」系列の本です。中世タペストリーにまつわる甘ったるいミステリー。うーん、それともハーレクイン・ロマンス系列といったほうがいいのかな。
何度も、「たいがいにせーよ」と小声で作家にツッコミながら、それでも楽しく読んでしまったのは、こういうベタでハガユイ恋愛小説/昔の少女まんが風 が久しぶりで。美術館や修道院、ギャラリー、お城といったモチーフが心地よくて……。生活感のない清潔でセクシーな生活感。かわいくてききわけのいい7歳の娘。インスピレーションを得たとたん、看板絵を描くようなハイペースで次々と幻想的具象画の傑作を生み出す画家(4時間でドレスさえ縫ってしまう)。ああ、並べてたらキリがない。
わたしのベースのひとつである「少女まんが」の特異性を、半歩はなれて眺められた、かも。それにしてもアメリカ人が、こういう恋愛を書けるとは(すみません、偏見です)。